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うつ病の基礎知識

モノアミン仮説

うつ病は、患者さん本人の気持ちの問題ではなく、脳の働きや能力が低下したために様々な精神症状や身体症状を呈する病気です。億単位の数の神経細胞が複雑に絡み合っている脳は、人間の臓器の中でもメカニズムの解明が最も遅れているのです。従って、うつ病をはじめとするあらゆる精神疾患についての発症のメカニズムは十分解明されていません。ここでは、あくまでも「仮説」として過去から現在まで考えられてきた発症に至るメカニズムについて解説します。

モノアミン仮説とは?

3種類の神経伝達物質であるモノアミン(ノルアドレナリン,セロトニン,ドーパミン)が不足するとうつ病を発症するという神経化学上の仮説。

脳内情報伝達のしくみ神経細胞同士はシナプスと呼ばれる連結部でつながっており、シナプス間で様々な神経伝達物質をやり取りすることで、神経細胞同士が情報伝達を行っています。神経伝達物質の中で、セロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンといった非常に重要な働きを持った化学物質は別名「モノアミン」と呼ばれています。高血圧に使用される薬剤のレセルピンが、モノアミンの量を減少させることは以前より知られており、レセルピンを使用した患者さんがうつ状態を呈したことが観察されていました。さらに、脳内神経においてモノアミンの量を増やす作用がある三環系抗うつ薬の発見から、うつ病はモノアミンが減少することによって発症するという「モノアミン仮説」が生まれました。

しかしながら、「モノアミン仮説」では説明できないような様々な矛盾点も以下のように指摘されています。

  1. 1. モノアミンが体内で代謝されてできた物質の量を血液や尿などから測定しても、うつ状態とそうでない場合と比較して、量の多い・少ないが一致しない。
  2. 2. レセルピンを服用した患者さんすべてがうつ病を発症するわけではない。
  3. 3. 抗うつ薬の投与後、急速にモノアミンの量は増えるが、2週間程度連続して服用しないと効果が現れない。
  4. 4. モノアミンの量を調節しない薬物でも、抗うつ効果が認められる場合がある。

このように、モノアミンの量が多い・少ないだけでは説明できないことが多く、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンそれぞれで神経伝達がなされていても、それぞれの神経が脳内では相互に複雑に絡み合って機能していることも次第に解明されるに至り、モノアミン仮説以外の仮説も提唱されています。