社交不安障害(SAD)という病気を知っていますか?

社交不安障害(SAD)とはどんな病気?

「社交不安障害」(SAD:Social Anxiety Disorder)とは、社会的な場面で不安や恐怖を過大に感じてしまう病気のことです。
例えば、こんな場面があなたにはありませんか?
「人と接する場面で、注目されたり、恥をかいたりするのではないかととても不安になる」
「人前で発表する時にひどく緊張して動悸がしたり、顔が赤くなったり、大量に汗をかいてしまう」
「会議や会話をしている時に遠慮してしまって自分の意見が言えず、自己主張が出来ない」

大勢の人が見ている前で何かをする、初対面の人に会うというのは誰でも緊張したり不安を感じたりするものですが、その緊張や不安が強すぎるために、人と接する場面を避けるようになったり、仕事の範囲が狭まったりと社会生活や仕事に支障を生じているなら、それは「社交不安障害」かもしれません。

会社員Aさんの場合

Aさんは会社で新しい商品のプレゼンをすることになりました。準備は十分にしてきたもののいざ、上司や役員の前に立つと緊張が高まります。声がうわずり、手が震え、汗が大量に噴き出してきました。最後には頭が真っ白になり何を話して良いかさえ分からなくなりました。何とかプレゼンを終えたAさんは「どうして自分にはうまくできないのだろう」と落ち込み、次のプレゼンを思うと不安になるのでした。

Aさんのように失敗の経験が鮮明に記憶されてしまうと、似たような場面で以前の失敗を意識して不安を感じ過度に緊張してしまい、また同じ失敗を繰り返してしまったりします。また、失敗しそうな状況を避けるあまり、行動範囲や人間関係を狭くしてしまうという悪循環に陥ることもあります。

強い緊張は性格や気の持ちようではないかもしれません

人前での緊張や不安は長い間「あがり症」など、性格や性質の問題として受け止められている人が殆どで、まわりの人に相談しても「考えすぎだよ」「そのうち平気になるはず」「気の持ちよう」などと言われることも多いでしょう。
また、社交不安障害は思春期頃に発症する割合が多く、長年にわたり深刻な悩みを抱えながらも、「内気な性格」「気持ちの問題」と思っている人が多いようです。

しかし近年、過度な緊張や不安を感じる原因が脳の働きに関連があることが明らかにされてきており、私たちの脳の働きにとって重要な神経伝達物質と言われるセロトニンやノルアドレナリン、ドパミンなどのバランスの崩れや、不安や恐怖に関わっている脳内の扁桃体とよばれる部分の活動の異常が社交不安障害の発症に関与している可能性が指摘されています。